国連のSGDsってなに?世界を舞台に「働き方改革」に取り組む国連職員の仕事

毎年9月末の国連総会の会期と合わせた1週間には、国連本部のあるニューヨークをはじめとする世界各国で多くのイベントが開催されます。

最近テレビや新聞などでよく目にする「SDGs」も国連に関係する考え方。

実は「働き方改革」もSDGsと関係があるものだってご存じでしたか?

今回は「国連」が私たちにとってどのような関係があるかを見ていきましょう。

6つの主要機関と15の専門機関で構成される国連

国連の現在の加盟国は193カ国

国際連合は、第二次世界大戦を防げなかった国際連盟の反省をふまえて、1945年10月に設立されました。

設立当初の加盟国は51カ国。日本は1956年12月に80番目の加盟国となりました。現在の加盟国は、193カ国です。

国連には国連総会、安全補償理事会、国際司法裁判所などの6つの主要機関と、経済・社会・文化・教育・保健などの分野にかかわる15の専門機関があります。

国連で働く国連職員の身分は国際公務員。

各国政府とは独立した立場にありますが、国連の政策や活動には政府の立場が反映されるのが実情です。

日本の場合、国連各機関の窓口は外務省が担っており、政策立案の際には関係省庁へ文書の閲覧・回覧などが行われています。

国連の「SDGs」と「働き方改革」の関係

働き方改革は「持続可能」なSDGsの考え方から来ている

国連がいま重視しているのが「SDGs」です。SDGsとはSustainable Development Goalsの略。

持続可能な開発目標という意味があります。

SDGsは2015年9月の国連総会で、全会一致で採択されました。貧困、飢餓、保健、教育などの17のゴールと、その下に169のターゲットが2030年までの国際目標として掲げられています。

貧困や飢餓と聞くと発展途上国のための目標ではないかと思うかもしれません。

しかし、SDGsは日本も大いに関係あります。そのうちのひとつが「一億総活躍社会」を目指す「働き方改革」です。

「政府によるSDGsを推進するための取組一覧」には、女性の活躍やダイバーシティ・バリアフリーの推進、地方創生といったテーマが盛り込まれているのが確認できます。

働き方改革は、日本が持続可能に発展していくためのひとつの方策なのです。

私たちは普段の生活で国連を意識することはほとんどありません。しかし、こうしてみると実はいろいろなところでつながっていることが分かるのではないでしょうか。

国連職員になるには

スキルが求められる国連職員に社会人経験は必須

国連には193の加盟国から、4万4000人の職員が働いています。

国連職員になるには国連職員の採用試験を受けることが必要です。

職員の種類には、32歳までの若手が応募できるYPPという枠と、それ以上の年齢の人が応募できる一般の枠があります。

国連職員になるための特別な資格はありません。YPPは大学を卒業していれば受験することができます。

ただし、募集要項は英語。採用試験は英語かフランス語で行われます。

試験には外国語で書かれた文章の要約問題や、応募するポストへの知識や専門性を確認する口頭試験などがありますので、実際に国連職員として採用されるのは海外の大学院(修士)以上を卒業した人が多いようです。

応募するポストへの専門性や実務遂行能力が求められるため、大学を卒業してすぐ国連職員を目指すというよりは、一般企業や公務員としての実務経験を積んでから応募するのが一般的となるでしょう。

国連で日本人が求められている

平和や安定に対する思いの強い日本人は世界から求められている

日本は国連の拠出金が世界第3位。一方、職員数は世界で25位。4万4000人の国連職員のうち日本人職員が占める割合は2.2%にとどまっています

日本は長年「お金を出しても人は出さない」と言われてきました。

ところが、日本もその状況を変えようと動き出しています。いま、世界では国際協調主義よりもアメリカ・トランプ政権のように自国優先主義の風潮が高まっているからです。

日本人は諸外国に比べて、平和や安定への思いが強いといわれています。そうした日本人の重要な特徴を国連の政策や活動に反映するためにも、日本人職員が必要です。

国連職員の女性の割合は3割。SDGsを率先する国連には女性にとっても働きやすい環境が整っています

国連職員となるのは簡単ではありませんが、異なる背景、文化、経験、アプローチを持つ多文化チームの中で働くのは非常におもしろいはずです。

世界全体が先行き不透明になっているいまだからこそ、日本の果たす役割が期待されています。

一国・一企業の枠組みを離れ、持続可能な社会づくりに取り組む国連職員という働き方を目指してみてはいかがでしょうか。