厚生労働白書から考える非正規雇用の現状と課題
![非正規雇用](https://hatarakikatakaikaku.org/wp-content/uploads/2024/03/cded5e7bc29aa019b1bc9e2e9e342f9c_t.jpeg)
近年、日本の労働環境は大きな変化を迎えています。少子高齢化や人口減少、グローバル化、テクノロジーの進歩といった社会経済情勢の変化に対応するため、政府は様々な労働政策を推進しています。2023年版厚生労働白書は、こうした変化を踏まえ、多様な働き方への対応と課題について詳しく解説しています。
厚生労働白書は、日本の労働に関する状況を毎年まとめた報告書です。
2023年版の白書から、近年顕著な労働問題と、政府が取り組む施策について、詳細な分析と考察を加えて解説します。
非正規雇用の現状と課題
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近年、非正規雇用労働者は全体の約4割を占め増加傾向であり、正規雇用労働者を上回る存在となりました。
特に新型コロナウイルス感染症の影響を受け、その動向に大きな変動が見られました。
非正規雇用者の増加は、柔軟な働き方を求める個人の選択、企業側の人件費削減のニーズ、さらには経済全体の不確実性など、複数の要因によって引き起こされています。しかし、非正規雇用者は、雇用不安定、低賃金、能力開発機会の不足など、多くの課題を抱えています。
また、不本意な非正規雇用という形で働く人々も多く、これは日本の労働力における潜在的な能力の活用を阻害する要因となっています。
課題
- 不本意非正規雇用労働者の存在(2022年:10.3%、特に若年層で高い)
- 正規雇用との不合理な待遇差(賃金、福利厚生、能力開発機会など)
- 多様な働き方への対応
施策
政府はこのような課題に対処するため、正社員への転換促進、待遇改善、能力開発機会の確保など、非正規雇用労働者への総合的な対策を推進しています。
具体的には、キャリアアップ助成金の活用、公的職業訓練の提供、職業能力開発の機会提供、ジョブ・カード制度の推進、「わかものハローワーク」をはじめとする就職支援サービスや、職業訓練、キャリアコンサルティングの充実が進められています。
また、有期労働契約に関しては、無期転換ルールの導入や、不合理な待遇差の解消など、公正な労働環境の確立に向けた取り組みが進められています。
これらの施策は、非正規雇用者が直面する不安定な雇用状況や不平等な待遇を是正し、労働市場全体の健全な発展を促すことを目的としています。
- 正社員転換・待遇改善の推進(キャリアアップ助成金など)
- 不合理な待遇差の解消(パートタイム・有期雇用労働法)
- 能力開発機会の確保(ハローワークの職業訓練、ジョブ・カード制度)
- フリーター等の正社員就職支援(わかものハローワーク、トライアル雇用助成金)
人材育成と雇用促進を支援するキャリアアップ助成金とトライアル雇用助成金
企業にとって、人材育成と雇用促進は重要な課題です。これらの課題を解決するために、厚生労働省は様々な助成金制度を提供しています。
キャリアアップ助成金とトライアル雇用助成金は、企業が非正規雇用労働者を正規雇用へ転換するための費用を支援する助成金です。
⇩こちらのコラム⇩では、キャリアアップ助成金の拡充要件・具体的な活用事例を紹介したいと思います。
キャリアアップ助成金やトライアル雇用助成金は、企業にとって非常に有益な制度です。
これらの助成金を活用することで、企業は人材育成や雇用促進を効果的に進めることができます。
非正規雇用労働者に対する総合的な対策を推進することは、個人の生活の質の向上だけでなく、社会全体の労働力の質の向上、経済の活性化にもつながります。
補助ステーションは、このような環境の下、企業と個人が共に成長し続ける社会の実現に向けて、国際的な人材の流動性の促進や企業の多様性と包摂性の強化に貢献します。未来を照らし、架け橋となる存在として、私たちは一人ひとりのニーズに応えるカスタマイズされたサービスを提供し続けます。
参考資料
- 厚生労働白書(2023年版)